1. 友好性

1.友好性

私はこれまでに確か50か国を訪れたことがあり、ベトナムにも4回行った。今回の旅行で、友好性ではベトナムに勝る国はないと考えるに至った。友好的な国、特に外国人に対して友好的な国は多い。日本も相当友好的な国だ。しかし、ベトナムには何か「特別」なものを感じる。私には、心から出た「本物」の友好性に思えるのだ。ベトナム人のそれは、職務上の形式的な態度(建前)などではなく、他人に優しく、親切にしたい、寄り添いたいと願う、嘘偽りのない内面的な気持ち(本音)である。いくつか例を挙げよう。

・ハノイの街は、途切れなく続く大量のバイクで道が溢れている。5人乗りだってある! 信号機の数が少ない中、道を渡るのは「危険な挑戦」だ。(実際にはゆっくり歩けば安全に渡れるのだが。)妻の美晴(ミハル)は恐くて足が出ない。その姿を見た年配の女性が、妻の腕を取って一緒に安全に道を渡ってくれた。何という親切!

途切れなく続く朝の通勤バイク。
一台に何人まで乗れるのだ?

・妻の美晴がホアンキエム湖畔のベンチで休んでいると、若者が声も掛けずにいきなり妻の膝の上に座り、妻の胸に上体を傾け、自撮り写真を撮ったかと思うと、さっと立ち上ってその場から立ち去っていった! こう聞くと、「何と無礼な」と思われるかもしれない。息子の薔薇樹(バラキ)によれば、日本でこのようなことをすれば、単なる「無礼な」行為とは見なされず、「犯罪」になる。確かに許可を得ないのは「無礼」かもしれないが、私はこの若者の行為を「人の温もり」の延長と見ており、一種の友好性であると考える。

・私はエスペラント大会に出席している期間、毎日、信じられないほど美しいダナンの浜辺沿いの道を散歩した。ある日、散歩中に急に喉が渇いてきた。ダナンはものすごーく暑いのだ。食べ物を売る屋台の前を通ったので、水をボトル1本売ってくれないかと売り子に聞いた(勿論ベトナム語で)。すると売り子は、「水は売っていない」と言ったかと思うと、突然ミネラルウォーターの入った大きなボトルを取り出し、腕を伸ばして私に差し出した。最初、私にボトルをくれようとしているのだろうと思ったのだが、実は、自分用のボトルから水を飲むように勧めていたのだった!

他の国でこのような出来事を想像できるだろうか。多分ベトナムでも滅多にないことだろう。この心温まる親切な行為に私は涙が出るほど感動した。私は売り子に精一杯感謝の気持ちを伝え、写真を撮り、散歩を続けた。

朝、美しいダナンの浜辺を歩く。
信じられないほど親切な屋台の売り子に水を勧められる。